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日別アーカイブ: 2025年4月21日

協立電設のよもやま話~雑学講座10~

皆さんこんにちは!

株式会社協立電設、更新担当の中西です。

 

~基準~

ということで、電柱新設における設計の基本から、具体的な基準、関係機関との調整内容、実務上のポイントまでを、深くかつ分かりやすく解説していきます!

 

安全・機能・景観を両立する“支柱1本”の裏にある技術

街中や郊外、住宅地から工場地帯まで
あらゆる場所に立ち並ぶ「電柱」は、私たちの暮らしを支えるインフラの柱。

その1本1本には、安全性・強度・維持管理性・景観配慮といった、多くの設計要素が盛り込まれていることをご存知でしょうか?


✅ 電柱の種類と設置目的を理解する

まずは、電柱の「種類」と「目的」を明確に把握することが、設計の第一歩です。

◯ 主な電柱の種類

種類 用途 管理主体
配電柱 低圧・高圧電線の支持 電力会社(例:東京電力)
通信柱 通信・CATV線支持 NTT、CATV事業者
共架柱 電力+通信の共用支柱 協定に基づく共架仕様
自営柱(構内柱) 工場や敷地内専用 民間設置(所有者管理)

📌 設計基準は、設置場所・目的・管理主体によって変わるため、まずは管轄を明確に。


📐 電柱設計の主な基準項目と考慮すべき要素

✅ 設計時に考慮する主な基準項目

基準項目 内容
電柱高さ 電線高さ、交差物、離隔基準により決定(通常7~14m)
埋設深さ 通常、柱高の1/6〜1/7(例:12m柱→約2m埋設)
支持荷重 電線荷重、風荷重、張力などを加味(構造計算が必要)
安全離隔 地上高・建物・道路・樹木との最小距離
景観規制 景観条例、都市計画に基づく材質・形状選定

📌 道路横断時の最低高さ:5.5m以上(歩行者・車両との離隔のため)
📌 電柱と建物の離隔は1.5m以上が基本(感電・火災防止の観点)


🧱 電柱の基礎構造と土質条件

◯ 埋設方法と基礎構造

  • 直埋式(一般的)
     → 支持地盤までの掘削+柱の埋設(コンクリートまたは鋼管柱)

  • 独立基礎式(構内・軟弱地盤など)
     → 基礎台を構築し、ボルトで固定

✅ 土質による施工基準の違い

土質 掘削方法 留意点
普通地盤(砂・ローム) 手掘り・重機掘削 安定性あり。直埋可能
軟弱地盤(粘土・腐植土) 鋼管杭・基礎コンクリート 地盤改良が必要な場合も
岩盤 ブレーカー・削岩機 削孔基礎または独立基礎対応

📌 地中水位が高い場合は、排水計画と埋戻し材の選定(流動化処理土など)が必要です。


⚠ 関係インフラ・周辺施設との離隔基準

電柱設置には、他インフラとの安全距離(クリアランス)を確保しなければなりません。

✅ 離隔基準の一例

対象物 最小離隔距離
建物 1.5m以上(原則)
道路・車道 電柱外面から車道端まで0.5〜1.0m
水道・ガス管 0.3〜0.5m以上(掘削時干渉防止)
通信ケーブル 電力線との縦方向:300mm以上(共架時)
樹木 成長を見越した剪定・離隔(都市緑化基準に準拠)

📌 離隔が取れない場合は保護管・防護カバー・支柱設置など、追加設計が必要です。


🗺 自治体・電力会社との設計協議・承認プロセス

電柱は単独では建てられず、管理者(電力・通信)および道路・土地管理者との協議が不可欠です。

✅ 設計前後の主な調整項目

調整内容 協議相手
電力線ルート・高さ 電力会社(東電など)
共架柱の仕様 NTT・CATV・電力間の三者協定
道路使用・設置許可 自治体/警察署(道路法・占用)
景観配慮設計 景観条例のある市町村担当課

📌 設計図には「電柱位置図」「立面図」「配線ルート図」」が必要で、提出から協議完了まで1〜2か月かかる場合もあります。


📊 耐風・耐震設計、将来的なメンテナンス性も考慮

電柱は自然災害に対しても安全性を確保する必要があります。

✅ 対応すべき自然荷重

  • 風荷重:台風時を想定し、沿岸部は特に高耐風設計(34m/s以上)

  • 地震荷重:断層近傍エリアでは変位対応型基礎設計が推奨

  • 積雪荷重:積雪地域ではアイスローディング対策を考慮

📌 将来的な点検・更新時のアクセスや保守作業の導線まで含めて設計しておくことが望ましいです。


✅ 電柱設計は「公共インフラ」としての責任設計

電柱1本といえども、そこには安全性・他インフラとの調和・景観・環境・将来のメンテナンスまでを考慮した設計基準が存在します。

そして、その多くは地上には見えない“設計の配慮”によって成り立っています。

電柱新設を計画する際には、設計者・施工者・管理者が密に連携し、
「支柱1本で社会の安全を守る」という意識で臨むことが、最も大切な姿勢です。


📋 設計時のチェックリスト(電柱新設編)

項目 確認内容
管理主体 電力?通信?民間敷地?
電柱高さ 電線離隔と建物条件を満たしているか
埋設深さ・地盤 土質に応じた支持構造を選定しているか
離隔基準 周辺施設とのクリアランスを確保しているか
設計図 配線ルート図・立面図・支持荷重計算の明示
各種許可 自治体・道路管理者・電力会社の承認取得

 

 

 

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